天空の芸術祭2025 「浮かぶ地層」
天空の芸術祭2025「浮かぶ地層」では、これまでの本展で取り組んできた再生や身体性、地理的・思想的な座標の探求といったテーマを継承しながら、より深く地域性や個の内面に向き合うことを目指します。
ここでいう地層とは、物理的な土地の重なりだけでなく、記憶や歴史、身体感覚、そして語られなかった思いや声が何層にも重なった存在として捉えています。私たちは何を記憶し、何を忘れてきたのか。その積み重ねの中で、私たちはどのような位置に立っているのでしょうか。
また、本展では見ることと見られること、触れることと触れられることといった双方向的な関係性、また身体と環境の接触や交感について探っていきます。作品は一方的に鑑賞される対象ではなく、鑑賞者の存在に応答し、関係を生み出すものとして立ち現れます。その中で、空間に染み込んだ記憶や、語られることのなかった歴史が静かに浮かび上がり、鑑賞者の内面に新たな問いが生まれます。
過去と現在、語りと沈黙、身体と空間が交差する場としての地層は、私たちの中にある忘れられた風景や沈黙の記憶を可視化し、新たな思索を促します。
本展では、鑑賞者が作品と場のあいだにある余白に立ち止まり、自身の身体を通して記憶や風景と触れ合うことも大切にしています。見えないものに耳を澄まし、語られなかった声を聴くことで、今ここにある存在と、これから芽生える可能性を感じ取っていただければ幸いです。
